第46回専門基礎午前問題(回答と解説)

第46回専門基礎午前問題(回答と解説)

46-A-051 車軸関節はどれか。2つ選べ。

1.顎関節

2.正中環軸関節

3.近位橈尺関節

4.椎間関節

5.脛骨大腿関節

 

46-A-051 答:2.3

1:× 顎関節は顆状関節である。

2:○ 正中環軸関節は車軸関節である。外側環軸関節は平面関節である。

3:○ 近位橈尺関節、遠位橈尺関節は車軸関節である。

4:× 椎間関節は平面関節である。

5:× 脛骨大腿関節はらせん(蝶番)関節である。

 

46-A-052 筋と付着部との組合せで正しいのはどれか。

1.腸腰筋――――大転子

2.長内転筋―――坐骨結節

3.半腱様筋―――腓骨頭

4.長腓骨筋―――舟状骨

5.前脛骨筋―――内側楔状骨

 

46-A-052 答:5

1:× 腸腰筋は小転子に付着する。

2:× 長内転筋は恥骨結節に付着する。

3:× 半腱様筋は脛骨内側顆に付着する。大腿二頭筋は腓骨頭と脛骨外側に付着する。

4:× 長腓骨筋は第1、2中足骨底と内側楔状骨に付着する。

5:○ 

 

46-A-053 外側皮質脊髄路が交叉するのはどこか。

1.放線冠

2.内 包

3.中 脳

4.延 髄

5.脊 髄

 

46-A-053 答:4 延髄腹側の錐体部で交叉する。外側皮質脊髄路は大脳皮質第5層のベッツ細胞から始まり、内包、中脳の大脳脚を通過し、延髄腹側の錐体部で交差した後、脊髄の側索を下行する。

 

46-A-054 筋と支配神経との組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。

1.僧帽筋――――長胸神経

2.小菱形筋―――肩甲下神経

3.棘下筋――――肩甲上神経

4.小円筋――――腋窩神経

5.大円筋――――肩甲背神経

 

46-A-054 答:3.4

1:× 僧帽筋は副神経支配である。

2:× 小菱形筋、大菱形筋、肩甲挙筋は肩甲背神経支配である。

3:○ 棘下筋、棘上筋は肩甲上神経支配である。

4:○ 小円筋、三角筋は腋窩神経支配である。

5:× 大円筋、肩甲下筋は肩甲下神経支配である。

 

46-A-055 運動神経線維を含まない神経はどれか。

1.外側足底神経

2.大後頭神経

3.腓腹神経

4.肋間神経

5.胸背神経

 

46-A-055 答:3

1:○ 運動神経線維を含む。拇趾内転筋などを支配する。

2:○ 運動神経線維を含む。大後頭神経は後頭部の筋を支配する。

3:× 感覚枝(皮枝)のみである。

4:○ 運動神経線維を含む。肋間神経は肋間筋を支配する。

5:○ 運動神経線維を含む。広背筋を支配する。

 

46-A-056 心臓の解剖で正しいのはどれか。2つ選べ。

1.僧帽弁は3尖である。

2.大静脈は左心房に入る。

3.右心室から肺動脈が出る。

4.卵円窩は心室中隔にある。

5.冠状動脈は大動脈から分岐する。

 

46-A-056 答:3.5

1:× 僧房弁は2尖である。右房室弁は3尖である。

2:× 大静脈(上大静脈、下大静脈)は右心房に入る。

3:○ 

4:× 卵円窩は心房中隔右側にある。

5:○ 冠状動脈は大動脈(上行大動脈)の起始部から分岐する。ちなみに大動脈とは上行大動脈、大動脈弓、胸大動脈、腹大動脈を指す。

 

46-A-057 リンパの流れについて正しいのはどれか。

1.腸リンパ本幹は右リンパ本幹に注ぐ。

2.乳び槽は頭部のリンパを集める。

3.胸管は左鎖骨下静脈に注ぐ。

4.右上肢のリンパは胸管に注ぐ。

5.右下肢のリンパは右リンパ本幹に注ぐ。

 

46-A-057 答:3

1:× 腸リンパ本幹は乳糜槽→胸管につながる。

2:× 乳糜槽は腹部、腰部、下肢のリンパを集める。

3:○ 胸管は左鎖骨下静脈(静脈角)へ、右リンパ本幹は右鎖骨下静脈へ注ぐ。

4:× 右上半身(頭頸部、上肢、胸部)のリンパは右リンパ本幹に注ぐ。

5:× 左右の下肢のリンパは腰リンパ本幹→乳糜槽→胸管につながる。

 

46-A-058 気管について正しいのはどれか。2つ選べ。

1.気管は食道の背側にある。

2.気管分岐角は約70°である。

3.右主気管支は左主気管支よりも太い。

4.気管は第2胸椎の高さで左右に分岐する。

5.左主気管支は胸大動脈の背側から肺に入る。

 

46-A-058 答:2.3

1:× 気管は食道の腹側にある。

2:○ 気管分岐角は右25°、左45°の計70°である。

3:○ 右主気管支は左主気管支より太く短い。

4:× 気管は第4、5胸椎の高さで左右の主気管支に分岐する。

5:× 左主気管支は上行大動脈の背側から肺に入る。胸大動脈の腹側となる。

 

46-A-059 左頸肩腕部の写真を示す。

指で示している部位はどれか。

1.第一肋骨

2.胸鎖関節

3.肩鎖関節

4.烏口突起

5.上腕骨小結節

 

46-A-059 答:4

 

46-A-060 成人の体表面で、全体表面の約9%に相当するのはどれか。2つ選べ。

1.頭 部

2.外陰部

3.胸腹部

4.一側上肢

5.一側下肢

 

46-A-060 答:1.4 9の法則は、体表面について頭部、胸部、腹部、背中上部、背中下部、一側上肢、一側下肢前面、一側下肢後面がそれぞれ9%で9× 11か所=99%となり、陰部1%で100%となる。熱傷時の簡易な損傷面積の計算に使用される。

1:○ 

2:× 外陰部は1%である。

3:× 胸腹部は18%である。

4:○ 

5:× 一側下肢は18%である。

 

46-A-061 頭蓋内圧亢進でみられない症状はどれか。

1.頭 痛

2.嘔 気

3.頻 脈

4.血圧上昇

5.うっ血乳頭

 

46-A-061 答:3 頭蓋内圧亢進では徐脈となる。

 

46-A-062 正しいのはどれか。

1.腓腹筋の神経支配比は外眼筋よりも小さい。

2.1つの運動単位に属する筋線維は同期して興奮する。

3.γ運動ニューロンは運動単位の構成要素の1つである。

4.遅筋の支配神経線維の径は速筋の支配神経線維よりも太い。

5.大径の脊髄前角細胞は小径の細胞よりも弱い筋収縮力で興奮する。

 

46-A-062 答2

1:× 粗大な動きをする腓腹筋の神経支配比は緻密な動きをする外眼筋よりも大きい。

2:○ 1つのα運動ニューロンとそれが支配する筋線維群を1つの運動単位といい、α神経細胞が興奮すると、支配している筋線維はすべて同時に(同期して)収縮する。

3:× 運動単位は1つのα運動ニューロンとそれが支配する筋線維群であり、γ運動ニューロンは含まれない。

4:× 遅筋の支配神経線維の径は速筋の支配神経線維よりも細い。

5:× サイズの原理で小さな前角細胞から先に興奮する。

 

46-A-063 運動時の生体反応で正しいのはどれか。

1.腎血流は増加する。

2.脳血流は増加する。

3.冠血流は増加する。

4.拡張期血圧は低下する。

5.酸素含有量の動静脈較差は減少する。

 

46-A-063 答3

1:× 腎血流や肝血流は減少する。

2:× 脳血流は変わらない。

3:○ 心臓の冠血流や筋血流は増加する。

4:× 拡張期血圧、収縮期血圧とも上昇する。

5:× 酸素含有量の動静脈較差は増加する。(活動筋では静脈血の酸素が減少するため)

 

46-A-064 循環生理で正しいのはどれか。

1.Valsalva(バルサルバ)試験中は一回拍出量が増加する。

2.Aschner(アシュネル)試験では心拍数が増加する。

3.頸動脈洞マッサージでは心拍数が増加する。

4.右心房への静脈還流は吸気時に増加する。

5.臥位と立位では静脈還流に大きな変化はない。

 

46-A-064 答4

1:× Valsalva試験中は息を止める試験で、一回拍出量が低下する。

2:× Aschner試験はまぶたを押さえることで三叉神経の求心路で、徐脈になる。

3:× 頸動脈洞をマッサージすると徐脈となる。

4:○ 吸気時には胸郭内圧の陰圧が上昇するため、心臓にも血液が流れやすくなる。これを呼吸ポンプという。

5:× 立位に比べ臥位では下肢の血液への重力がかかりにくくなるため、静脈還流量は増加する。

 

46-A-065 心電図について正しいのはどれか。

1.P波は洞結節の興奮に対応する。

2.PQ間隔は心房内の興奮伝導時間である。

3.QRS間隔は心室全体への興奮伝導時間である。

3.ST部分は心室の再分極する過程を示す。

4.T波はPrukinje(プルキンエ)線維の再分極に対応する。

 

46-A-065 答3

1:× P波は心房の興奮に対応する。洞結節の興奮は心電図では現れない。

2:× PQ間隔は心房が収縮し始めてから、心室が収縮し始めるまでの時間で心房から心室への興奮伝導時間である。

3:○ 

4:× ST部分は心室の脱分極の過程を示す。

5:× T波は心室全体の再分極に対応する。

 

46-A-066 嚥下で正しいのはどれか。

1.口腔内の食塊は反射運動で咽頭へ送られる。

2.軟口蓋が挙上すると咽頭と鼻腔の通路が開く。

3.喉頭蓋が引き上げられて気道が閉鎖される。

4.食塊が食道に入る時期に呼吸が促進される。

5.食道期の食塊移動は蠕動運動による。

 

46-A-066 答5

1:× 口腔内の食塊は随意的に咽頭へ送られる。

2:× 軟口蓋が挙上すると咽頭と鼻腔の通路が閉じる。

3:× 喉頭が挙上し、喉頭蓋が下がる(後方へ反転する)ことで気道が閉鎖する。

4:× 食塊が食道に入る時期に呼吸は一瞬止まる。

5:○ 

 

46-A-067 内分泌器官とホルモンとの組合せで正しいのはどれか。

1.膵 臓――――プロラクチン

2.甲状腺――――糖質コルチコイド

3.副腎皮質―――ノルアドレナリン

4.副甲状腺―――サイロキシン

5.下垂体後葉――抗利尿ホルモン

 

46-A-067 答5

1:× 膵臓からはインスリン、グルカゴン、ソマトスタチンが分泌される。プロラクチンは下垂体前葉ら分泌される。

2:× 糖質コルチコイド、電解質コルチコイド、アルドステロンは副腎皮質から分泌される。

3:× アドレナリン、ノルアドレナリンは副腎髄質から分泌される。

4:× サイロキシン、カルシトニンは甲状腺から分泌される。副甲状腺(上皮小体)からはパラソルモンが分泌される。

5:○ 下垂体後葉からはバゾプレシン(抗利尿ホルモン)とオキシトシンが分泌される。

 

46-A-068 末梢神経損傷で予後が最も良いのはどれか。

1.Waller(ワーラー)変性

2.放射線ニューロパチー

3.neurotmesis(ニューロトメーシス)

4.axonotmesis(アクソノトメーシス)

5.neurapraxia(ニューラプラキシア)

 

46-A-068 答:5

1:× 軸索断裂によりおこり自然治癒は1日1㎜である。

2:× 放射線による障害で改善は困難である。

3:× 神経断裂で自然治癒は見込めない。

4:× 軸索断裂で自然治癒は1日1㎜である・

5:○ 神経圧迫で一時的な障害であり自然治癒する。

 

46-A-069 タイプⅡ筋線維と比較してタイプⅠ筋線維の特徴はどれか。

1.筋線維の径が太い。

2.筋小胞体数が少ない。

3.酸化酵素活性が低い。

4.ミトコンドリアが少ない。

5.ミオグロビン量が少ない。

 

46-A-069 答2

1:× タイプⅠ線維の筋線維の径は細い。

2:○ 

3:× タイプⅠ線維は酸化酵素活性が高い。

4:× タイプⅠ線維はミトコンドリアが多い。

5:× タイプⅠ線維はミオグロビンが多い。

 

46-A-070 正しいのはどれか。

1.凹足では主に横アーチが高くなる。

2.足の縦アーチは外側が内側よりも高い。

3.距腿関節は底屈位で遊びが小さくなる。

4.足根中足関節では主にすべり運動が生じる。

5.横足根関節は距舟関節と距骨下関節とからなる。

 

46-A-070 答:4

1:× 凹足では、縦アーチが高くなる。

2:× 足の縦アーチは内側が高い。

3:× 距腿関節は底屈位で遊びが大きくなる。背臥位ではほとんど内外転しない。(遊びがなくなる)

4:○ 

5:× 横足根関節は、距踵舟関節と踵立方関節からなる。

 

46-A-071 筋と基本肢位からの肩関節運動の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。

1.棘上筋――――外 転

2.大円筋――――屈 曲

3.小円筋――――内 旋

4.広背筋――――伸 展

5.烏口腕筋―――伸 展

 

46-A-071 答:1.4

1:○ 

2:× 大円筋は肩関節の伸展、内旋、内転に作用する。

3:× 小円筋は肩関節外旋、水平伸展に作用する。

4:○ 広背筋は肩関節内旋、伸展に作用する。

5:× 烏口腕筋は肩関節屈曲、内転、水平屈曲に作用する。

 

46-A-072 膝関節屈曲位における筋と下腿への作用との組合せで正しいのはどれか。

1.縫工筋――――――外 旋

2.半腱様筋―――――内 旋

3.膝窩筋――――――外 旋

4.大腿二頭筋――――内 旋

5.大腿筋膜張筋―――内 旋

 

46-A-072 答:2 脛骨の内側に付着する筋は内旋に、外側に付着する筋は外旋に働く。

1:× 縫工筋は下腿の内旋に働く。

2:○ 半腱様筋は下腿の内旋に働く。

3:× 膝窩筋は下腿の内旋に働く。

4:× 大腿二頭筋長頭は下腿の外旋に働く。

5:× 大腿筋膜張筋は下腿の外旋に働く。

 

46-A-073 呼気時に働く筋はどれか。

1.横隔膜

2.大胸筋

3.後斜角筋

4.外腹斜筋

5.胸鎖乳突筋

 

46-A-073 答:4

1:× 横隔膜は安静吸気、努力吸気に働く。

2:× 大胸筋は努力吸気に働く。

3:× 後斜角筋は努力吸気に働く。

4:○ 外腹斜筋は努力呼気に働く。

5:× 胸鎖乳突筋は努力吸気に働く。

 

46-A-074 歩行の神経機構として、中枢パターン発生器(central pattern generator)説がある。

この神経機構で誤っているのはどれか。”

1.解剖学的な構造が明確である。

2.意図的な制御を軽減している。

3.ヒト以外の動物にもみられる。

4.相反性抑制機構が関与している。

5.脳幹部以上の中枢から制御を受けている。

 

46-A-074 答:1 解剖学的な構造は明確でない。

 

46-A-075 アテローム(粥状)硬化と関係するのはどれか。

1.Buerger病

2.肥大型心筋症

3.悪性腎硬化症

4.僧帽弁狭窄症

5.腹部大動脈瘤

 

46-A-075 答:5 アテローム硬化は動脈壁に中性脂肪などが貯まり動脈硬化(動脈の狭窄)をおこした状態である。

1:× Buerger病は原因不明で喫煙男性に多い。動脈硬化とは関係ない。

2:× 肥大型心筋症は原因不明で心筋が肥大する疾患で動脈硬化とは関係ない。

3:× 良性腎硬化症はアテローム硬化と関係する。悪性腎硬化症は比較的若年者で高血圧からおこる。

4:× 僧房弁狭窄症はリウマチ熱などが原因となったり高血圧からおこるが直接アテローム硬化とは関係ない。

5:○ 大動脈瘤の原因はアテローム硬化である。大動脈瘤は腹大動脈に多い。

 

46-A-076 急性炎症が主な病態であるのはどれか。

1.肩関節周囲炎

2.痛風性関節炎

3.結核性膝関節炎

4.肘離断性骨軟骨炎

5.上腕骨外側上顆炎

 

46-A-076 答:2

1:× 肩関節周囲炎は50肩のことで加齢により関節包の石灰化などがおこる。

2:○ 

3:× 

4:× 肘離断性骨軟骨炎は野球肘のことである。成長期に繰り返しボールを投げることで起こる。

5:× テニス肘のことである。テニスのラケットを固定するために手関節の伸筋が強く働く。

 

46-A-077 骨格筋の病理組織標本を示す。矢印で示すのはどれか。

1.核

2.赤血球

3.リンパ球

4.末梢神経

5.毛細血管

 

46-A-077 答:1 骨格筋の筋線維(筋細胞)の核は筋線維の外側に多数ある。

 

46-A-078 血圧降下薬としての作用機序で適切なのはどれか。

1.利 尿

2.心拍数増加

3.心拍出量増大

4.血管平滑筋収縮

5.ナトリウム貯留

 

46-A-078 答:1

1:○ 循環血液量が減少すると血圧が下降するため利尿薬は血圧低下に効果がある。その他血管拡張剤などが効果がある。

2:× 心拍数が増加すると血圧が上昇する。

3:× 心拍出量が増大すると血圧が上昇する。

4:× 血管平滑筋が収縮すると血圧が上昇する。

5:× ナトリウムが貯留すると水分が体に貯留しやすくなり血圧が上昇する。

 

46-A-079 正しい組合せはどれか。

1.Piaget(ピアジェ)―――――性格類型

2.Freud(フロイト)―――――認知発達

3.Rogers(ロジャーズ)―――来談者中心

4.Erikson(エリクソン)――――無意識

5.Kretschmer(クレッチマー)―発達課題

 

46-A-079 答:3

1:× Piagetは認知運動発達を分類した。

2:× Freudは無意識を研究した。

3:○ 来談者中心療法はカウンセリング法でRojersが提唱した。

4:× Eriksonは社会心理発達の課題を時期によって8段階に分類した。

5:× Kretschmerは体型による性格分類を研究した。

 

46-A-080 不安を伴う事柄を思い出さないようになることはどれか。

1.昇 華

2.投 射

3.抑 圧

4.合理化

5.知性化

 

46-A-080 答:3

1:× 昇華は社会的に認められないような欲求が生じたときに、社会的に容認される形で満たすことである。破壊行動をバッティングセンターに行ってまぎらすなどである。

2:× 投射(投影)は自分の気持ちを相手のものとするもので、自分が相手を非常に嫌っているのに、相手が自分を嫌いだというなどである。

3:○ 抑圧は自分の気持ちを抑え込むものである。嫌だと言いたいのに言わないなど。

4:× 合理化は自分を正当化する理屈をつけるもので、「酒を飲むのはお前がうるさいからだ」などである。

5:× 知性化は知性的に考えて受け入れようとするものである。こうすれば病気がよくなるなどである。

 

46-A-081 「全般的な知能に大きな低下がなく、文字を読めば分かるが書くことができない」のはどれか。

1.学習障害

2.Rett症候群

3.Tourette症候群

4.広汎性発達障害

5.注意欠陥多動性障害

 

46-A-081 答:1

1:○ 

2:× Rett症候群は女児にみられ、7~24か月までは正常に発達していたものが、その後運動障害や重度の知的障害をおこすものである。

3:× Tourette症候群では、複雑運動チック、言語チック(汚言症)が1年以上続くものである。

4:× 広汎性発達障害には自閉症、アスペルガー症候群、Rett症候群が含まれる。

5:× 注意欠陥多動性障害では注意障害、多動、衝動性を持つ。

 

46-A-082 頸髄完全損傷の機能残存レベルと課題との組合せで誤っているのはどれか。

1.C4――――電動車椅子の操作

2.C5――――ベッドへの横移乗

3.C6――――長便座への移乗

4.C7――――自動車への車椅子の積み込み

5.C8――――高床浴槽への出入り

 

46-A-082 答:2

1:○ C4では顎コントロールや呼気コントロールの電動車いすの操作ができる。

2:× C5では移乗やベッド上での移動はできない。垂直(前後)移乗ができるのはC6、横移乗ができるのはC7である。

3:○ 長便座は通常の便座より細長く、前後移乗によって使用できる。

4:○ 

5:○ 

 

46-A-083 前方脱臼よりも後方脱臼の頻度が高いのはどれか。2つ選べ。

1.顎関節

2.環軸椎関節

3.肩関節

4.肘関節

5.股関節

 

46-A-083 答:4.5 肘関節、股関節は後方脱臼しやすい。顎関節、環軸椎関節、肩関節は前方脱臼しやすい。

 

46-A-084 ノーマライゼーションとして誤っているのはどれか。

1.大規模収容施設の建設

2.交通機関のバリアフリー化

3.ユニバーサルデザインの導入

4.市民への障害についての啓発活動

5.職業訓練センターの障害者用プログラム策定

 

46-A-084 答:1 障害を持つ人を隔離するという考え方ではなく、他の人と同じように生活をする、人生を生きるというのがノーマライゼーションの考え方である。

 

46-A-085 ウイルス感染症に比べ細菌感染症に認められやすい特徴はどれか。

1.高 熱

2.発 疹

3.蛋白尿

4.好中球増多

5.無痛性リンパ節腫脹

 

46-A-085 答:4 細菌感染では好中球が増え、ウィルス感染ではリンパ球が増える。

 

46-A-086 変形性膝関節症で正しいのはどれか。2つ選べ。

1.二次性が多い。

2.女性よりも男性に好発する。

3.外反変形を生じやすい。

4.運動開始時に疼痛がある。

5.大腿四頭筋の萎縮を認める。

 

46-A-086 答:4.5

1:× 変形性関節症は一次性(退行変成)が多い。変形性股関節症は先天性股関節発達不全、ペルテス病などを基礎疾患に持つ二次性が多い。

2:× 中年以降の肥満女性に多い。

3:× 膝の内反、屈曲、脛骨の外旋変形を生じる。

4:○ 立ち上がり時、歩き始めなど運動開始時にとう痛がある。進行すると安静時にも痛みを生じる。

5:○ 

 

46-A-087 原発性骨粗鬆症について正しいのはどれか。2つ選べ。

1.男性に多い。

2.海綿骨の減少を伴う。

3.喫煙は危険因子である。

4.低カルシウム血症を伴う。

5.骨折好発部位は尺骨である。

 

46-A-087 答:2.3

1:× 原発性骨粗鬆症は閉経後の女性に多い。

2:○ 海綿骨の骨梁の減少、緻密骨の骨量の減少がみられる。

3:○ 

4:× 血中カルシウム濃度は変わらない。

5:× 骨折好発部位は上腕骨近位端、橈骨遠位端、大腿骨頸部、脊椎である。

 

46-A-088 中枢神経の感染症と病原体との組合せで誤っているのはどれか。

1.エイズ脳症―――――――――ウイルス

2.Creutzfeldt-Jakob(クロイツフェルト・ヤコブ)病――プリオン

3.進行麻痺――――――――――スピロヘータ

4.日本脳炎――――――――――ウイルス

5.急性灰白髄炎(ポリオ)――――細 菌

 

46-A-088 答:5

1:○ エイズはヒト免疫不全ウイルス(HIV)による感染症である。

2:○ 

3:○ 進行麻痺は梅毒(スピロヘータ)による感染症である。

4:○ 日本脳炎は日本脳炎ウィルスによる感染症である。

5:× 急性灰白髄炎はポリオウィルスによる感染症である。

 

46-A-089 外傷性脳損傷後にみられやすい症状はどれか。

1.運動失語

2.着衣失行

3.相貌失認

4.全般性注意障害

5.左半側空間無視

 

46-A-089 答:4 外傷性脳損傷では明確な局所症状はみられないことが多い。注意障害、記銘障害、脱抑制、人格変化など前頭葉障害はみられることが多い。

46-A-090 肘部管症候群の症状で正しいのはどれか。2つ選べ。

1.猿手変形

2.鉤爪手変形

3.ボタン穴変形

4.Tinel徴候

5.前腕近位尺側の感覚障害

 

46-A-090 答:2.4

1:× 猿手変形は円回内筋症候群、手根管症候群など正中神経麻痺で生じる。母指球の萎縮や母指対立障害が生じる。

2:○ 鉤爪手変形は肘部管症候群、Guyon管症候群など尺骨神経麻痺で生じる。環指、小指のMP、IP屈曲やゆびの内外転ができなくなる。

3:× ボタン穴変形は関節リウマチで生じる。

4:○ Tinel徴候は該当神経の中枢側を叩くと末梢にしびれや痛みを生じるもので、神経麻痺で生じる。

5:× 肘部管症候群では前腕遠位尺側~手の尺側の感覚障害を生じる。

 

46-A-091 皮膚筋炎で誤っているのはどれか。

1.女性に多い。

2.四肢近位筋の筋力が低下する。

3.赤沈が亢進する。

4.血中CK値が低下する。

5.悪性腫瘍を高率に合併する。

 

46-A-091 答:4 皮膚筋炎では筋の壊死がおこるため血中CK値が上昇する。また、発熱、赤沈上昇、CRP上昇などの炎症症状がみられる。

 

46-A-092 ヘリコバクター・ピロリ菌の感染が原因となるのはどれか。

1.胆嚢炎

2.急性膵炎

3.萎縮性胃炎

4.逆流性食道炎

5.潰瘍性大腸炎

 

46-A-092 答:3

1:× 胆嚢炎は胆石が原因でおこることが多い。

2:× 急性膵炎はアルコールの多飲や胆石が原因となる。

3:○ ヘリコバクター・ピロリ菌は酸性に強く胃の中で増殖することで胃炎、胃潰瘍、胃がんの原因となる。

4:× 逆流性食道炎は肥満、加齢、胃酸過剰などが原因となる。

5:× 潰瘍性大腸炎は原因不明である。

 

46-A-093 内分泌異常と病態との組合せで正しいのはどれか。

1.抗利尿ホルモン分泌亢進―――尿崩症

2.副甲状腺機能低下――――――テタニー

3.甲状腺機能低下―――――――Basedow病

4.下垂体前葉ホルモン欠損―――先端巨大症

5.副腎皮質機能低下――――――Cushing症候群

 

46-A-093 答:2

1:× 尿崩症は下垂体後葉から分泌されるバゾプレシン分泌低下によっておこる。

2:○ テタニーは副甲状腺機能低下により血中カルシウム濃度が低下しておこる。

3:× Basedow病は甲状腺ホルモン(サイロキシン)の分泌過剰によっておこる。

4:× 先端肥大症は下垂体前葉から分泌される成長ホルモンの分泌過剰によっておこる。

5:× Cushing症候群は副腎皮質機能亢進によっておこる。

 

46-A-094 心不全でみられにくい所見はどれか。

1.胸水の出現

2.左室前壁の不動化

3.心胸郭比(CTR):70%

4.左室駆出率(LVEF):60%

5.脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)の増加

 

46-A-094 答:4

1:○ 心うっ血のため胸水がみられる。

2:○ 左室前壁を支配する左冠状動脈の前室間枝の狭窄により左前壁が不動化すると心不全を起こす。

3:○ 心肥大のため心胸郭比は50%以上となる。

4:× 左室駆出率は55~80%が正常である。少ないと心不全といえる。

5:○ 

 

46-A-095 嚥下障害に対する治療法はどれか。

1.Shaker(シャキア)法

2.DeLorme(デローム)法

3.Jakobson(ヤコブソン)法

4.Codman(コッドマン)体操

5.Buerger-Allen(バージャー・アレン)体操

 

46-A-095 答:1

1:○ Shaker(シャキア)法は、喉頭の挙上訓練で、嚥下障害に対する訓練法である。

2:× DeLorme(デローム)法は漸増筋力抵抗運動である。

3:× Jakobson(ヤコブソン)法はリラクゼーション法である。

4:× Codman(コッドマン)体操は五十肩(肩関節周囲炎)に対する訓練法である。

5:× Buerger-Allen(バージャー・アレン)体操は閉塞性動脈硬化症に対する訓練法である。

 

46-A-096 ビタミンB1(チアミン)欠乏によるのはどれか。2つ選べ。

1.脚 気

2.痛 風

3.ペラグラ脳症

4.Mallory-Weiss(マロリー・ワイス)症候群

5.Wernicke-Korsakoff(ウェルニッケ・コルサコフ)症候群

 

46-A-096 答1.5

1:○ 

2:× 痛風は尿酸値が上昇するとおこる。

3:× ペラグラ脳症はニコチン酸(ナイアシン)欠乏で起こる。

4:× Mallory-Weiss症候群は飲酒などによる嘔吐の繰り返しが原因で胃食道接合部付近に裂傷をおこすものである。

5:○ 

 

46-A-097 物質依存についての組合せで適切なのはどれか。

1.カフェイン―――――――共依存

2.ベンゾジアゼピン――――離脱症状

3.トルエン――――――――嫉妬妄想

4.大 麻―――――――――身体依存

5.覚せい剤――――――――滞続言語

 

46-A-097 答:2

1:× 共依存とはアルコール依存症の夫が妻に依存し、妻は「夫の世話をするのが私の使命」などと夫の存在に対してお互いに依存することをいう。カフェインでは共依存はおこらない。

2:○ 抗不安薬のベンゾジアゼピンは耐性形成、身体依存ともある。身体依存があると離脱症状がおこる。

3:× 嫉妬妄想はアルコール依存症で多い。

4:× 大麻に身体依存はない。

5:× 滞続言語はPick病の特徴である。覚せい剤の長期乱用により統合失調様の症状を呈する。

 

46-A-098 「自分の周辺でただならぬ事件が起こっている気配がして不気味だ」という訴えはどれか。

1.強迫観念

2.社会恐怖

3.妄想気分

4.作為体験

5.支配観念

 

46-A-098 答:3

1:× 強迫観念は自分でも不合理とわかっている観念が何度も繰り返し出現するものである。

2:× 社会恐怖は対人恐怖のことで、人前で話したり注目を集めたりすると緊張する。

3:○ 妄想気分は統合失調に生じる妄想で、なんとなく不気味な感じがするなどという妄想である。

4:× 作為体験は他人にさせられるという体験で統合失調症にみられる。

5:× 支配観念は強い感情を伴う思考や観念が自分の精神を支配するというものである。子供を亡くした母親が、ずっとそのことが頭から離れないなどである。

 

46-A-099 パニック発作に関して正しいのはどれか。

1.健忘を残す。

2.予期不安がある。

3.転換症状である。

4.脳波で棘徐波を認める。

5.フラッシュバックを伴う。

 

46-A-099 答:2 パニック発作はいつどこでおこるか予期できない発作で、突然、動悸、息苦しさなどと共に死んでしまうのではないかという強い恐怖をともなう。通常30分以内で発作はおさまる。予期不安、広場恐怖を伴う。

1:× 健忘は残さない。

2:○ いつどこでおこるのだろうという予期不安を生じる。

3:× 転換症状はストレスがかかった時に、運動麻痺、感覚麻痺、けいれん発作などをおこすものである。

4:× 脳波は正常である。

5:× フラッシュバックをおこすのはPTSDである。

 

46-A-100 摂食障害でみられないのはどれか。

1.徐 脈

2.無月経

3.低体温

4.高血圧

5.電解質異常

 

46-A-100 答:4 低血圧となる。

 

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